NSAも関与するNISTの耐量子暗号標準化プロジェクトで最終候補に採択され、標準化されました(2022年)
🔐 Kyber の数学的な基礎
Kyberは「格子ベース暗号」の一種で、特に「Module Learning With Errors(Module-LWE)問題」に基づいています。
📌 概念:格子(Lattice)とは?
簡単にいうと、整数の線形結合によって作られる多次元のグリッド構造のこと。
格子暗号は、**「格子に関する困難な問題」**を暗号強度の根拠にしている。
🧮 Kyber の構成要素(数式レベル)
Kyberは、以下のような整数環と多項式環を使います。
📘 使用される数論構造
-
:素数のモジュロ(Kyber-1024では )
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:多項式の次数(Kyberでは )
-
:mod 上の整数環
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:次数 の多項式環(Kyberが定義される主な空間)
📦 Kyber の主要な操作とパラメータ(Kyber-1024)
項目 | 内容 |
---|---|
セキュリティパラメータ。Kyber-1024では | |
公開のランダム行列 | |
小さなランダムな「秘密ベクトル」 | |
公開鍵の一部(ノイズ付き線形写像) |
🔐 鍵生成(KeyGen)
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ランダムな行列 を生成
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小さい多項式ベクトル を生成(ノイズ含む)
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を計算
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公開鍵:
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秘密鍵:
🔐 鍵カプセル化(Encapsulation)
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新しい小さいベクトル をランダムに生成
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暗号文:
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共有鍵 をハッシュで導出(
SHA3-256(ct || m)
など)
🔐 鍵復元(Decapsulation)
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を受け取る
-
-
で同じ共有鍵を再構築
🤯 なぜ安全なの?
暗号強度は以下のような「難問」に依存:
🧩 Module-LWE 問題:
与えられた , において、 ノイズ がある状態で秘密 を求めるのは困難。
これが、量子コンピュータでも解くのが困難だと考えられています。
📉 ノイズ(エラー項)の役割
-
Kyberでは や のようなノイズ多項式を各演算に混ぜています。
-
これにより、観測される や から逆算して を復元することが不可能になります。
✅ まとめ:Kyberの数学的本質
概念 | 内容 |
---|---|
暗号基盤 | Module-LWE問題(格子ベース) |
数学的構造 | 多項式環 |
安全性の鍵 | ノイズによる逆算困難性 |
特徴 | 高速、コンパクト、量子耐性あり |
📘 補足資料
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NIST標準候補ページ:https://csrc.nist.gov/projects/post-quantum-cryptography
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Kyberの論文: "CRYSTALS-Kyber: A CCA-Secure Module-LWE Cryptosystem"
幼稚園児
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